俺妹第8話 感想


俺の妹がこんなに可愛いわけがない 第8話 『俺の妹がこんなにアニメ化なわけがない』より引用

「あーあ、気に入らない気に入らない。この世の全てが気に入らないわ」


黒猫ペロペロ


桐乃が書いたラノベがアニメ化することに決まって打ち合わせをしていたのだけど、桐乃の意見が通らないばかりか勝手に内容を書き換えられてしまうことに対して、兄の京介たちが説得しに行くシーン。脚本家は桐乃のラノベはつまらないと発言する。その脚本家は過去に小説を出していたのだけれどどれも売れていなかった、それを黒猫が指摘して言うセリフ。

「女子中学生が書いた原作をありがたく脚本に写すには、さそがしプライドが邪魔なことでしょう」


世の中の仕事はたぶん誰にでも出来るものばかりで、その人にしかできない仕事っていうのは思ったよりも少ない。だから、ある程度の立場になると実務以外の部分で優位に立とうとする。そして脚本家は自分の立場を利用して、自分ならこうしたいという個人的欲求を満たそうとした。


プライドはとても厄介なもので、これが無ければ仕事に対する責任感もなくなるけれど、逆にプライドがありすぎても自分の考えに固執してしまう。他人の成功や才能。これは妬ましく思えるけど、それを潰そうとしたり引きずり落とそうとしても何も良くならない。


イラストやデザインでもそうなんだけれど、何か良いと感じたり素晴らしいと思ったら何故そうなのか自分で調べて考えないと結果は生まれない。だから模写してみたり、よく目を凝らして観察してみる。そして自分が良いと感じた結果を表現にすれば良い。それをもし相手に伝えることができれば本人だってすごく喜ばしい気持ちになれると思う。本人にしてみれば自分では気付かない魅力に気付いてくれた相手がいたんだから。


だから年下だとか経験だとかは関係ない。それなのにプライドが邪魔して相手の良い部分を素直に誉められない人が多く、さらには才能がある人間を育てないことで自分の立場を守ろうと必死なんだと思う。そこに保守的と言うか、閉塞感があるのかもしれない。もちろん誰にでも生活があるから、それを一方的に責めることはできないんだけれど。


物語としては兄の京介のセリフでこう締める。

「頼む、あいつの意見を聞いてやってくれ!そいつは俺の妹が一生懸命書いたものなんだ。すげえがんばって書いたんだよ。あんたらアニメのプロなんだろ?だったら本気見せてくれよ。このままじゃ、俺の妹はアニメに…、大好きなものに幻滅しちまうんだよ!」


その言葉にアニメの制作陣は改心して、桐乃が提案していたアイデアはほとんどが採用されることになる。これはアニメだから都合よく上手くいくんだよと言われるかもしれないけど、これが理想の社会のあり方だと感じるなら叶えていきたい。誰かの願う気持ちに応えられる社会であって欲しいなと思うけど…、まだ社会はそんな小さな願いも聞き入れてくれないみたいだ。


だから最近のアニメではこう言うんだ。

「夢もキボーもありゃしない。」

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