ファム第3話 感想


ラストエグザイル-銀翼のファム- 第3話「Light spuare」より引用

「もういいわ、今さら。意味無いんだもの。わたし、何もできない。わたし一人じゃ、お姉さまの思い出も取り返せない…こんなわたし、なんの役にも…」


ファム


何もかも失ったミリアは、空賊に売られていった姉との思い出の品物を取り返したいと言う。それに協力したファムのおかげで揉めることもなく無事に取り戻すことができた。ミリアは申し訳なさそうに言う。

「ごめんなさい。わたしのせいで、何もできないくせに迷惑ばっかりかけて…」
「『迷う翼は風が支えよ』空で困ってる人がいたら必ず助ける。それが空賊の掟だから。わたしもそうやって助けてもらったから、今ここにいるの」
「助けて…もらった?」
「拾われたんだ、あたし」


ファムの過去を知ったミリアは、自分がファムよりも恵まれた環境で育ってきたことに気が付いて言う。

「ごめんなさい。わたし、自分ばっかり。つらくて悲しいのは私だけだって。でも、みんなだって、あなたにもつらいことはあって、悲しみがあって」
「そりゃあね。私も全然寂しくない訳じゃないけどさ、ちっちゃすぎてなんも覚えてないから、あんま実感ないんだよねー…空賊のみんなが家族みたいなもんだし。空の上にいる限り、いつかどこかであたしを知ってる人と会える気がするし!」


夢があるの


そうミリアに話してから、さらに楽しそうな顔をしてファムが言う。

「それにあたしには夢があるんだ!」
「夢?」
「うん。もう一度、あの日みたいに世界中のバンシップ乗りが集まってレースをするの。空賊も地上の国の人もみんな、みーんな同じ空を飛ぶ。素敵じゃない?もちろん、優勝するのはこのあたしだけどね!」
「そうね。素敵だわ。世界中の人たちが集まって、争いの無い平和な空を見上げて笑って、それが本当になったらどんなに…」
「ほんとにするの!いつか絶対!」


ある日、それまでの全てを失くしてしまったミリア。そしてそれを元気付けるように、ファムが自分の過去の話をして、さらに夢まで語るシーンがよかった。自分には何も出来ないと悲観するミリアが、ファムの夢を通して素晴らしい未来を信じて勇気付けられる。


夢を語ること。自分の理想を追うこと。


何もない毎日を繰り返していると、これはよく見失ってしまう。それなりに忙しいし、遠い未来よりもすぐ近くの明日ばかり見てしまう。週末までの予定を計画通りにこなすことだけで精一杯になってしまう。そのうち、夢や理想は少しずつ色褪せて見えてしまう。


だから時々、少しの時間でいいから夢や理想を考えてみる。それも、できるだけ大きな方が良い。恋人が欲しいとか結婚したいではなく、誰かに共感されるような夢。そういう大きな夢を語ることができれば、ファムのように誰かを励ますことも出来る。


叶えたい夢があって初めて誰かの心を動かすことができる。この人なら夢を叶えそうだと信じてもらえる。だから、こうして夢を語ることはとても素晴らしいことなのだと思う。

「ほんとにするの!いつか絶対!」

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