声優 福山潤
NHK 『VOICE ACTORS 〜声優 福山潤・森川智之〜』より引用
「根本的に僕は悩むのが好きじゃないです。で、迷うのもあまり好きじゃないんです。結局、自分の中でできることって幾つか分かっていても、やるべきことってのも決まってるじゃないですか。じゃあ、そこに向かって進んで行くしかないので『やるなら突き抜けよう、やりきっちゃえ』っていう。」
声優番組で福山潤さんが言っていた言葉。何かをするとき、つい相手の理解に合わせてしまうことがある。要求されたものを注文通りに応えてしまう。そうではなくて、注文されたものを大きく越えてしまっても構わないのだと思わせてくれる。
「怖いながらも恐る恐るやるんじゃなくて、思いっきりバーッとやっちゃって『お前それダメだよ』って言われたら代えを考えようかなっていう。そこら辺の部分は、思いきりがないとこっちも楽しくないので…。
なるべくそういうものが来たときは、『やり過ぎだ』って言われるラインを自分の中で(表現して)言ってみたいなって。そうすると、『もっとやれよ』って言われたら、あーまだ良いんだって。『ちょっとやり過ぎだね』って言われたら、ここら辺かなっていう(表現ができる)。」
不安や恐怖で先が見えない状況で、それに怯えながら小さく進んでいって答えを見つけるよりも、どうせ先が見えないのなら大きく踏み込んでみて、その地点から調整したほうが手っ取り早いじゃんと。この決め方はリスクの取り方にすごく似ていて良いなと思った。
「もし相手に違うと拒否されたらどうしよう」「もし相手に変な奴と思われたらどうしよう」最大限を選択するとそんな恐怖心が芽生える。そこで大抵の人は、無難で常識の範囲に収まった行動しかしない。その選択はとても合理的で精神的にも楽なのだけれど、そこから得られるフィードバックや利益、学べることはとても少ない。
それなら恥に思われることを恐れず、思うべきことを精一杯やる。
こうやって大きなリスクを選択していくことで、自分の想像以上の結果を得ることも出来るし、相手の要求するレベルを自分が超えていればそこに合わせることもできる。求められた要求に合わせて下げることは簡単なのだし、「限界で挑んでいれば良いものが出来上がったのに」と後悔することもなくなる。
「いきなり歩幅が、最初の出だしが少ないと『もっとやれ』と言われた場合どこまでなのか分からないですし、逆に自分の中で(思ったことをやって)『おいおい、君の最初の第一歩はそこなのかい?』なんて(驚かれて)思われると、自分としてもちょっと(してやったりって感じ)なので。だから最初の一回目がある意味戦いみたいなのもありますからね。」
何も見えないところに大きく踏み込んでいく。
これは誰でも怖い。相手の心に土足で上がっていくようなことで、すごく失礼なのかも知れない。でも、そこで不安に怯えていては相手の心も分からず、真意も理解できないのかも知れない。
試してみないことには何も分からない。試さない場合は「きっとこうだったんだろうな」と自分に言い聞かせるしかなくなる。それよりも試してみて、相手から「そうじゃなく、こうしたい」とか「ここまで出来るんだ」と考えを引っ張り出すことで相手にとっても自分にとっても良いものが生まれる。
「できる範囲のことだけをやっていると、自分の中でそのできることで(狭く)固まってしまいそうなので、(最大限)できる範囲のことはやっぱりやりたいんです。その最終回までの間にそこの一歩を踏み出したいなと。限界値は伸ばしたいですね。」
そして、不安を恐れずに現場でアドリブをする福山さん。
台本に書かれてることを変える訳だから大きなリスクがある。他の声優さんに迷惑をかけてしまうし、おかしな人だと思われるかもしれない、つまらないと冷笑を浴びるかもしれない。けれども、彼は構わずアドリブをした。
それに対して周りの反応は冷めた視線ではなくて、あたたかい笑いだった。これにはすごく勇気づけられた。リスクを背負って間違えても良いし、他の人と違うことをしても良い。大事なのは恐怖や不安に怯まないこと、そして自分の中の最大を引き出していくこと。
こう考えて進めば、誰かの判断に惑わされることもない。相手に許可を求めるのではなく、自分自身に許可を与える。何をやっても良いんだと自分を許可してみる。だからこそ最大限のできることをやる。それが恐怖や不安に打ち勝っていく方法なんじゃないかと思った。
「弱気になるな、この物語の主役はお前なんだ」
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