あの花第6話 感想


あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。第6話『わすれてわすれないで』より引用


援助交際をしているとクラスで噂になってしまう安城鳴子。その日珍しく登校した宿海は自分が噂の標的になると心配していたが、周りは安城の噂話ばかりしている。彼女と幼馴染であった宿海は、噂話を気にしない素振りで黒板を写している彼女に関心する。ところが、彼女のノートに目をやると悪意のある噂話に対して、必死で抵抗するように暴言を書き連ねていた。


宿海


それに気付いた宿海は周囲の空気を立ちきるように、机を叩いて立ち上がる。そのまま恐る恐る、声も震わせながらたどたどしく言う。

「お、おまえら俺を見ろ!ひさびさに…、学校に来た男だ。入学式と最初の一週間しか、来てねえ。こいつなんて、いつでもどこでもほいほい会える。ラブホ?それぐらいで大騒ぎか。こいつはどう見たってラブホのひとつやふたつ行ってそうな…ラブホ顔じゃねえか!だから!言っておくが、こいつに限って援交なんてぜってえやらねえ!」


その情けないながらも自分をかばってくれる言葉に安城は感動する。宿海はそのまま暴走し続け、昔の安城の性格まで話し始めて援助交際を否定する。安城はそれを引き止めるようにして宿海を教室の外に連れ出していく。


鳴子

「…でも、ありがとう。あたしのことかばってくれた…。で!も!ラブホ顔はない。ほんとにラブホ行ってなんかないし、てか入ったこともないし!」


このシーンが良かった。


引きこもり気味で久しぶりに登校した宿海は、自分に対して詮索されるのを恐れていたけれど周囲は誰も気にかけてなかった。それどころか、周りの人間は安城を傷付ける勝手な噂話を嬉々として話している。そして自分だけが安城の「助けて」という言葉を見つけてしまう。


それで、自分が何とかしないといけないと行動を起こす。


これは普段、何気なく過ごしていても起きうる、起きていることかも知れない。噂話が好きな人はどこにでもいて、たいてい話してる内容は下品なことだ。そして表面上、周りと仲良くするために誰かを傷付ける話であっても同調し、どうせ噂話だからと楽しむ人たちがいる。


それに逆らっておかしいんじゃないかと発言すると、空気を読めない奴だとレッテルを貼られてしまう。あるいは、自分に都合の悪い噂話を流されてしまうかもしれない。そんな恐怖心は誰にでもある。


その恐怖に立ち向かう宿海。不登校で周りの目ばかり気にしていたけど、逆に自分に注目を浴びさせるようにして安城を助けた。それは自分じゃない誰かのためだからこそ勇気を持って行動できたんじゃないかと思う。


あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 第7話『ほんとのお願い』より引用


めんまの願いが花火を打ち上げることだと気付いた宿海は、不登校で堕落した生活からバイトを始める。お金を稼ぐためにバイトを掛け持ちして夜中まで働く宿海。そのことを知っためんまは宿海の仕事現場に行く。そこでめんまは宿海の想いに気付く。

めんまが自分のこと考えてない間、ずっとじんたんがめんまのこと考えててくれたんだ」


めんまの願いごとのために必死で働くじんたん、もとい宿海。


行動を決意する意欲って自分の中を探してみても何もないことが多くて、何もないから動けない原因になることがある。けれど、誰かの願いを叶えるためだとすれば気持ちも考え方も変わってくる。


それまで何もかも諦め気味でやる気も起きなくて、堕落しきっていた宿海は、ある日突然あらわれた幽霊(?)であるめんまの願い事を叶えるために物事を成し遂げていく。それを見て、疎遠だった仲間がだんだんと集まって協力してくれるようになっていく。みんなでめんまの願い事を叶えるために。


今回見るのは2回目なんだけれど何度見ても感動してしまう。たぶん、こういう物語は自分にとって憧れなんだと思う。主人公がいろんなものに出会って、考えて、感じて、行動して、成長していくような話。現実には、なかなか努力が報われる瞬間ってないのだけれど、いつか報われると信じたい。


そこに生きる意味があるはずだから。


めんま

「かっけーんすよ、ピカピカ光るじんたん。…かっけーんすよ。」

66500